些事加減
白い砂浜が、目の前にどこまでも続いている。
真っ青な空を上に讃えた砂浜は、なんて綺麗なんだろう。
地平線て、
見えなくなる最後の土地のことだって認識してたけど
ここには終わりがない。
この後に忘れ去る夢のような、朧げな感じの声が
頭の後ろから語りかける。
「ちょっと用事をすませてくるから、この辺で待っててね」
それが男の声なのか、女の声なのかわからない。
母のこえなのか、父の声なのかもしれなかった。
小さな自分は、手に赤い風船を持たされて、
「これを持っていれば、どんなに遠くまで行っててもいいよ」
と肩を優しく押された。
それから、どれほどの時間が経ったのだろう。
気まぐれに後ろを振り返っても、
やっぱり白い砂浜しかなかった。
私の右手から、綿の糸で 赤い風船だけが浮かんでいる。
もう、手を放してしまおうか。
ここはもう充分遠い。
見つけてくれるって、
一体誰を待っていたんだろう。
もう、手を放してしまおう。
美しい砂浜を 力を込めて走り出す。
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