こんな気分は初めてだ。
私はこれから一生、夜を愛していくんだろうと思う。
お店が終わって看板を仕舞に行くと、思いがけない場所に月が出ている。
少し欠けていて、霞に滲んだ光。
あれを盗みたいと泥棒は思う。
夜は宇宙がすぐ隣まで降りて来る時間だ。
暗がりに飛び込めば、星の光までもが姿を現してくれる。
一番暗い時間を越えたら、空が太陽を受け容れ始めて
月も白んで凍り付いてしまう、けれども。
夜は優しい。
こんなことをして夜を身籠って、ずっとそばに居る。
ありのままの夜とともに生きてゆく。
泥棒冥利に尽きる話。
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