20111019

温かい終わり。







こんな気分は初めてだ。

私はこれから一生、夜を愛していくんだろうと思う。

お店が終わって看板を仕舞に行くと、思いがけない場所に月が出ている。

少し欠けていて、霞に滲んだ光。

あれを盗みたいと泥棒は思う。

夜は宇宙がすぐ隣まで降りて来る時間だ。

暗がりに飛び込めば、星の光までもが姿を現してくれる。

一番暗い時間を越えたら、空が太陽を受け容れ始めて

月も白んで凍り付いてしまう、けれども。

夜は優しい。

こんなことをして夜を身籠って、ずっとそばに居る。

ありのままの夜とともに生きてゆく。




泥棒冥利に尽きる話。









_

0 件のコメント:

コメントを投稿