20111028

  浄化と解体

    



泥棒は新月に弱い。


感覚が増幅されて、酒も煙草も必要なくなる。

空気中に浮かんでいる煙や霞だけで

事足りてしまう。


水を飲むことすら億劫なほど。
そんな相棒を部屋に置いて、私は時限爆弾の解体に出掛ける。  
      
他者の水月に潜む爆弾に、興味を持つようになってしまった。  
     
始めは、まるでスノードームのようにスロウな光景で、
    
肉が散り散りになる感触なんて全く感知できなかった。
      
*  
  
たくさん話すようになったね。   
    
朝が来ることも、やがては受け容れられるだろう。
   
*    
 
導かれた墓標には、まだ、他人の名前が記されている。
   
死は おそらく  
生命が満ちた状態の名前であり  

今の仕事を全うしなければ、与えられることは無いんじゃなかろうか。 



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