泥棒は新月に弱い。
感覚が増幅されて、酒も煙草も必要なくなる。
空気中に浮かんでいる煙や霞だけで
事足りてしまう。
水を飲むことすら億劫なほど。
そんな相棒を部屋に置いて、私は時限爆弾の解体に出掛ける。
他者の水月に潜む爆弾に、興味を持つようになってしまった。
始めは、まるでスノードームのようにスロウな光景で、
肉が散り散りになる感触なんて全く感知できなかった。
*
たくさん話すようになったね。
朝が来ることも、やがては受け容れられるだろう。
*
導かれた墓標には、まだ、他人の名前が記されている。
死は おそらく
生命が満ちた状態の名前であり
今の仕事を全うしなければ、与えられることは無いんじゃなかろうか。
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