20120518

(node" 5 ".)





手を伸ばせば届くところに、
桃の花が咲いている。
少し季節外れの、気後れした花たちだ。

彼女はこの街で、ピーターパンのように人気者。
神出鬼没で、屈託なく笑う。

私はその時、街の橋を渡る仕事をしていた。
橋の多い街だ。
いつも霧が綺麗に降りていて、
草木も月も、充分に潤っている。

街のどこかで新しい建築が始まると、
住民たちは すこしだけ生活を離れる。
青い青い光が飛び散り、
憑かれた者には 他界した恋人が見えてしまうのだ。

そうして街には時折 青い建築物が生えていく。
それから、避けるようにして橋が渡される。
水銀のように、凍えるほど熱い蒸気が見えるときもある。

あまり近づかないことだ。


私は、同じ街の、別の家に住んでいる彼女に会うのが好きだった。
何故かは分からないが、仕事の折にも 思い出してしまう。

橋桁は白と黒の板が寄り集まって出来ていて、
見えない場所には切れない糸が、
たくさんたくさん絡まっている。
(鍵盤の数でしか 世界を表せないなんて ナンセンス)

誰かが唄ってる。

(駆け落ちしようぜ どこへでも)

ピアノは解放されたがっていた。





























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よろしくお願いします^^

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